
入職して3年目の相談員、キャリアコンサルタントの鈴木佳奈です。
以前の職場で働いていた頃、産業カウンセラーの資格を取得しました。
当時は、周囲の仲間たちが仕事の悩みや不安からメンタル不調に陥ることがあり、私自身も苦しさを抱えていました。「自分も、まわりも、少しでも楽になれたら…」そんな思いが、カウンセラーを目指すきっかけになりました。
けれど残念ながら、その職場ではその思いを活かす場がなく、退職を決意。
「心にモヤモヤを抱えた人が、私との対話を通じて少しでも笑顔を取り戻してくれたら」。そんな願いを胸に、さらに学びを深めてキャリアコンサルタントの資格を取得し、縁あって「高知家の女性しごと応援室」に勤務することになりました。
私は、人のことが気になるタイプで、つい「何か力になれないかな」と思ってしまう性格です。でも相談員の仕事は、あくまで相談者の声に耳を傾けることが大切。自分の考えを押しつけるのではなく、そっと寄り添いながら、必要なときにそっと背中を押してあげられるような存在でありたいと思っています。
高知家の女性しごと応援室の特徴は、たっぷりと時間をかけて、1対1で丁寧に会話を重ねること。心の中の思いを言葉にするには、時間が必要です。今日話せなかったことは、また次回に。そうやって少しずつ、相談者さんの本当の気持ちに近づいていきます。
ゆっくりと整理しながら、ご自身の思いに気づいていただけるよう心がけています。
相談業務では、表情や声のトーンなど、言葉以外のサインにも気を配っています。
初回の面談で「私は〇〇したいです」と明確に話される方も、じっくり対話を重ねると、実は少し違う気持ちが隠れていることもあります。
頑張り過ぎて心にバリアができてしまうと、人の声も届きにくくなります。
相談に来られる方は皆さん本当に頑張っていて、行き詰まった末にここへたどり着かれます。以前の職場でも、休むことなく走り続ける女性たちをたくさん見てきたので、その気持ちはよくわかります。
もちろん、環境や事情は人それぞれ。わからないことも多く、日々が学びの連続です。
心の内を語っていただくには、信頼関係が何よりも大切。「この人になら話せる」「この人に聞いてほしい」と思っていただけるような関係づくりを心がけています。
以前の私は、「〜すべき」「こうあるべき」といった固定観念に縛られていました。
マニュアル通りでなければいけない、決まりから外れてはいけない——そんな考え方の中で生きていました。
でも、応援室に来てからは、「いろんな考え方があっていい」「広い視野で選択肢を持つことが大切」と思えるようになりました。
同じような悩みを抱えた相談者さんに出会うと、「ああ、すごくしんどい思いをされているな」と感じます。その気持ちが少しでも軽くなるよう、そっと寄り添えたらうれしいです。
自分自身が悩みを抱えすぎていたり、体調がすぐれなかったりすると、相談者さんのお話が入ってこなくなります。
気持ちに寄り添うには、集中力と健やかな心身が必要。
以前は、飲みに出かけたりスキーに行ったりと、アクティブに動いてストレスを発散していました。ちなみにスキーは見た目に反して、実は上級者です(笑)。ゲレンデでは別人のように滑っています。

今は、そんな“動”から“静”へと変化し、自分にとって心地よいものを選び、居心地のいい空間に身を置いて気持ちをリセットするようになりました。
自然豊かな田舎に住んでいることも、心の安定に大きな力をくれます。窓を開ければ心地よい風が入り、朝日を浴びて新しい一日が始まります。
プライベートでは、家の中で手仕事をしながら過ごす時間が好きになりました。
わらびを採ってあく抜きしたり、ハネ物の文旦をジュースにしたり、梅酒を漬けたり。旬の味を、大切な人と分かち合うのが何よりの楽しみです。

最近は、水引細工でアクセサリーを作ったり、アクリル絵の具で花や野菜の絵を描いたりもしています。息をするのを忘れるほど、夢中になれる時間です。

昔は「あれもこれも」と分刻みのスケジュールで動いていましたが、今は身近なところに楽しみを見つけ、ゆったりとした時間の中で心豊かに過ごしています。
そんな日々の積み重ねが、私自身の心を整え、相談者さんと向き合う力になっているように感じています。
