相談者:Oさん(30代)

福祉関連の仕事から、一般企業へ転職したOさん。しかし、心身ともに疲れ切ってしまい、離職しました。「もう一度福祉の道へ」との思いで就活を始め、高知家の女性しごと応援室へ。相談を繰り返しながら「自分のしたいこと」に向き合い、新たな一歩を踏み出しました。
新人への配慮が不十分な職場
――高知家の女性しごと応援室での相談に至った経緯を教えてください
Oさん 前職では、入社当初から仕事の流れや業務の詳細について十分な説明がなく、どうしていいかわからない状態でした。そもそも「新人に付いて教える」という文化がなく、見て覚えるのが当たり前、質問をするのも難しい環境でした。相談をしても改善されず、自分なりに先輩を見ながらやったことも間違いを指摘され、「入社してずいぶん経つのにできていない」と責められるようになりました。眠れない日が続き、もう少し頑張ろう、もう少し努力してみようと思っているうちに、心も体も限界に達し退職しました。
その後、経験のある福祉関係の仕事に就こうとハローワークに足を運びましたが、なかなか思うような求人を見つけられませんでした。県社協に求人を探しに行った際、「ここに行ってみたら?」と高知家の女性しごと応援室のチラシをいただきました。それを持ってそのままソーレに向かったのが最初でした。
ポータブルスキルを知って強みにする
――高知家の女性しごと応援室では、どのようなお話をされましたか?
Oさん 退職に至った状況を伝え、履歴書を見ていただきながら職歴や資格についてお話ししました。
山下(相談員) Oさんは福祉関係の資格をたくさんお持ちで、スキルもあります。福祉関係はいろいろな仕事があって、求人も多いです。履歴書だけを見れば、どこに応募しても即採用になるだろうという印象でした。
何に困っていらっしゃるのだろうと思いながらお話しするうちに、「何がしたいのかわからない」ということが悩みの種だとわかりました。そこで、Oさんご自身が持っているスキルについて知っていただこうと、「ポータブルスキルのセミナーに出てみませんか?」とお声がけしました。
Oさん ポータブルスキルという言葉は初めて聞きました。後日、セミナーを受けて、これまで経験してきたことの中で自然に身に付いていていること、移動しながらでも活用できるスキルのことだと知って、それなら私にもあるんじゃないかと思えました。
山下(相談員) Oさんは、人の観察力に優れていて、小さな変化にも気づくことができる方です。その他、たくさんのポータブルスキルを持っておられることに気づいていただくことができました。
根気よく続けた、自分のしたいこと探し
――その後はどのように相談・就活を進められたのでしょう?
山下(相談員) 面談をしたのは、電話も含めて20回です。これまでの職歴を振り返るだけの時もあれば、Oさんの3年後、10年後、20年後、30年後の未来について話すこともありました。
Oさん 先のことなんて全然わからなかったけど、例えば30年後に独立するとしたら、どんなスキルが必要か、そのために何をするべきか、どうやって小さなステップを踏むかを考えましょうと言ってくださって、未来の自分をイメージすることができました。ライフプランについて話すことで、少し視界が開けたように思いました。
山下(相談員) Oさんは福祉関連の就職フェアに出たり、ハローワークに行ったり、積極的に動かれていました。そこで見つけた求人票を一緒に見ながら、共通点を探したり、どこに魅力を感じているかを分析したりしました。ある日、「Oさんのモチベーションが上がる働く条件って何だろうねぇ」と話していた時、「人の自立支援を促すような仕事がいいな」と、次の一歩を見つけられました。
Oさん それが見えてきてから、気になる求人については職場見学に行くようにしました。山下さんから、どんな視点で見たらいいのか、何を質問したらいいのかアドバイスをいただき、現場で見たことや感じたことを共有して、次にどうしたらいいかを一緒に考えてもらいました。
その結果、福祉関係の就職が決まりました。私にとっては初めての業務で、ゼロからの出発です。覚えることがたくさんありますが、先輩たちが丁寧に指導してくださるので、早く力になれるよう頑張りたいです。
相談を通じて、考え方の変化と成長を実感
――高知家女性しごと相談室を利用された感想をお聞かせください
Oさん 仕事を辞めた時は、疲労困憊で体が動かず、起き上がることもできませんでした。思考力も低下しており、ネガティブな感情もありました。まずは、私の話を聞いて受け入れ、共感してもらえたことで気持ちが楽になりました。
今までの仕事は、業務に必要な資格、給料や休みを基準に選び、そのまますぐに就職していました。今回の相談を通じて、見学することの有効性や、内定をいただいた後も、本当にやりたいと思える業務なのか見極めることの大切さを学びました。また、今は企業が人を選ぶのではなく、求職者が働く場を選ぶ時代になってきていること、面談後や内定後でも合わないと思うことがあれば、こちらからお断りすることができることも知りました。これまで自分軸ではなく他人軸になっていたことに気づきました。こんなに自分に向き合って就職ができたのは初めてです。
新しい環境で新しいことに挑戦するのは本当に大変ですが、種蒔きをした就活だったので、今の場所で咲くことができるよう、頑張ってみようと思います。
今は心地よい疲れの中で9時には就寝し、朝は自然と6時頃に目覚めます。朝ごはんをしっかり食べて出勤する毎日です。
どうしたらいいのかわからない‥‥‥と悩んでいる離職中の方、在職中の方は、まず電話で予約して行ってみてください。悩んでいる人の話を受け入れ、一緒に考えてくれますので、ぜひ相談してみることをお勧めします!